
男性もHPVに感染?がんになるって本当?予防にはワクチンを接種
- 2025/09/17
- 産婦人科
HPVは男性も感染し、がんや尖圭コンジローマの原因になります。さらにパートナーの子宮頸がんリスクも高めるため注意が必要です。本記事では男性がHPVに感染するとどうなるか、予防に有効なワクチンの費用・副作用について詳しく解説します。
男性も感染する!HPVとは
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、性的接触を通じて感染するウイルスです。女性の子宮頸がんの原因として知られていますが、実は感染するのは女性だけではありません。男性は自覚症状が出にくく、感染に気づかないままパートナーへ広げてしまうこともあります。そのため、HPVは女性だけの問題ではなく、男性にとっても健康と大切な人を守るために知っておくべきウイルスなのです。
男性がHPVに感染するとどうなる?
男性のHPV感染は「自分自身の健康リスク」と「パートナーへの影響」という二つの側面があります。
がんや尖圭コンジローマが発症する恐れがある
HPVの一部の型は陰茎がんや肛門がん、さらには口腔性交による咽頭がんの原因となることが知られています。通常は感染しても自然消滅する場合がほとんどですが、長期間感染したままでいるとこれらのがんが発症するケースがあるのです。また、尖圭コンジローマは見た目にも影響し、治療しても再発を繰り返すことが少なくありません。症状による精神的ストレスは大きく、患者さんの生活に深刻な影響を及ぼします。
パートナーの子宮頸がんのリスクを増加させる
男性がHPVに感染していると、性交渉を通じて女性へ感染が広がることがあります。その結果、女性の子宮頸がん発症リスクを高めてしまうことは医学的に明らかです。つまり、HPV感染は「自分の健康問題」であると同時に「大切な人の命に関わる問題」でもあるのです。パートナーを守るためにも、男性自身が予防や正しい知識を持つことが欠かせません。
男性のHPVを予防するにはワクチン
HPV感染を防ぐ最も効果的な方法のひとつがワクチンです。これまで日本では女子を中心に定期接種が行われてきましたが、近年では男性への有効性も注目されています。性交渉を始める前に接種するのが望ましいとされますが、成人男性でも接種可能で、感染リスクを大幅に下げられます。パートナーへの感染を防ぐ意味でも、男性が積極的にワクチンを検討することが重要です。
年齢
HPVワクチンは男性も9歳以上から接種可能とされています。特に性的接触の機会が増える前に接種しておくことが望ましく、15歳未満であれば2回接種で完了するため負担も少なく済みます。
種類
日本において男性が接種可能なHPVワクチンは以下の通りです。
- 4価HPVワクチン「ガーダシル®水性懸濁筋注シリンジ」
- 9価HPVワクチン「シルガード®9」
これまでは4価HPVワクチン「ガーダシル®水性懸濁筋注シリンジ」のみが男性への接種可能とされていました。2025年8月25日にMSD株式会社が、9価HPVワクチン「シルガード®9」の製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを公表しました。
費用
男性のHPVワクチンは現状では原則任意接種となるため、多くは自費です。1回あたりおよそ15,000〜20,000円程度で、全3回の接種が必要ですので総額は45,000〜60,000円程度が目安です。ただし、近年では自治体が独自に助成制度を導入しているケースもあり、条件を満たせば無料または一部補助で接種できる場合もあります。
副作用
副反応としては、接種部位の痛みや腫れ、軽い発熱や倦怠感などが一時的にみられることがあります。ほとんどは数日以内に自然に治まるため心配はいりません。重い副反応は非常にまれで、発生率は極めて低いとされています。大切なのは、リスクとメリットを正しく理解したうえで判断することです。
男性HPVに関するよくある質問

ここでは、男性HPVに関するよくある質問に回答します。
男性でもHPV検査は受けられる?
男性の場合、一般的な健康診断にHPV検査は含まれていません。尖圭コンジローマなど症状が出た場合は診断が可能ですが、無症状での検査は限られた医療機関でしか行っていないのが現状です。不安がある場合は泌尿器科で相談してみましょう。
接種を検討する際の相談先は?
HPVワクチンを検討する際は、泌尿器科や内科で相談ができます。ワクチンを取り扱っているクリニックであれば、年齢や生活スタイルに応じて適切なアドバイスを受けられます。特にパートナーと一緒に検討することは、お互いの安心につながるでしょう。
HPVワクチンを接種して自身とパートナーの命を守りましょう
HPVは「女性だけの問題」と思われがちですが、実際には男性にとってもがんや尖圭コンジローマなど深刻な健康リスクにつながります。さらに自覚症状がないまま感染を広げ、パートナーの子宮頸がんリスクを高めてしまう恐れもあります。こうしたリスクを減らすためには、男性自身が積極的にHPVワクチンを検討することが大切です。自分の健康を守るだけでなく、大切な人の未来を守る行動でもあります。
Sレディースクリニックは、大阪市生野区で女性医師が担当する産婦人科・美容皮膚科です。東大阪からも多く患者様にご来院していただいており、性感染症やワクチンに関するご相談を幅広く承っております。「パートナーにもワクチン接種をお願いしたい」などお悩みがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。