女性によくある症状の改善に効果的な3つの漢方薬「女性三大漢方」とは？

毎日を心身ともに健康な状態で、アクティブに過ごしたいと願っても、なかなかそうはいかないもの。とくに女性の場合、月経痛や月経不順、手足の冷えやむくみ、便秘、更年期障害、お肌のトラブルといった女性特有の症状に悩まされることがしばしば。

そういった女性によくある症状は、検査をしても原因や治療法がはっきりしないことも多く、不調が続いてしまいがちです。そんなお悩みに寄り添ってくれるのが、とくに女性特有の症状の改善に効果的といわれる漢方薬です。今回は「女性三大漢方」や「婦人科三大漢方」と呼ばれる3つの漢方薬について、それぞれの特長をご紹介します

漢方（東洋医学）の基本的な考え方「気・血・水」とは？

すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、漢方（東洋医学）には、体の状態や治療法を見つけるための基本的な考え方として「気・血・水」があります。まず「気」とは人間が持つエネルギーのこと。

「元気」「やる気」といった言葉にも「気」が使われていますね。「血」とは単純に血液だけを表すのではなく、栄養などの体に必要な成分も含んでいます。「水」とは血液以外の水分を指しており、汗や涙、唾液、リンパ液、尿などのこと。漢方の考え方では「気・血・水」がバランスよく体を巡っている状態が「健康」ということになります。

ところが、女性は血の巡りが悪くなり、滞ってしまう「瘀血（おけつ）」という状態に陥りがちです。そのため、月経痛などの症状、手足の冷え、お肌のトラブルといったお悩みが引き起こされるのです。

今回ご紹介する「女性三大漢方」と呼ばれる3つの漢方薬は、いずれも瘀血の状態を改善する働きがあるとされています。そのほかの女性によくある症状の改善にも役立つ、女性三大漢方の一つひとつを見ていきましょう。

女性三大漢方その1

当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）

当帰芍薬散は、おもに冷え性や貧血といった症状を持つ女性の、月経痛や月経不順、更年期障害のほか、むくみやめまい、腰痛、肩こりといった症状の改善に役立つ漢方薬です。

「気・血・水」の考え方でいえば、当帰芍薬散には「血」を補い、「水」の巡りをよくする働きがあるとされています。「血」はおもに血液にあたるものですが、それらが不足している状態になると、体のすみずみに十分な栄養や熱を行き渡らせることができません。また水分の代謝なども悪くなるため、体の冷えにもつながってしまいます。そのような状態を改善するのが当帰芍薬散です。

日頃から体力がなく疲労感を感じやすい、胃腸が弱い、貧血気味といったタイプの方で、女性特有の症状やお悩みをお持ちの方には、当帰芍薬散がおすすめです。

女性三大漢方その2

桂枝茯苓丸（けいしぶくりょうがん）

桂枝茯苓丸も当帰芍薬散と同様に、女性によく見られる月経痛や月経不順、更年期障害（のぼせ、頭痛、めまい）などの症状に効果的な漢方薬です。それでは、桂枝茯苓丸と当帰芍薬散の違いはどんなところにあるのでしょうか？

当帰芍薬散は「体力がない」「胃腸が弱い」「冷え性や貧血」といったタイプの方向けの漢方薬ですが、桂枝茯苓丸は「体力がある（筋肉質）」「便秘気味」「下半身が冷える」といったタイプの方向けの漢方薬になります。

桂枝茯苓丸がとくに得意とするのは「血」の巡りをよくすること。たとえば、「下半身の冷えはひどいけど、顔（上半身）はほてっている」といった「冷えのぼせ」の改善に桂枝茯苓丸は効果的です。また「血」の巡りがよくなることで、月経痛や月経不順などにも効果を発揮するといわれています。

女性三大漢方その3

加味逍遙散（かみしょうようさん）

加味逍遙散の基本的な効能・効果については、当帰芍薬散と桂枝茯苓丸という2つの漢方薬と同じです。女性三大漢方の一つとして、女性特有のさまざまな症状の改善をサポートしてくれます。加味逍遙散が持つ大きな特長は、原因がはっきりしない「不定愁訴（ふていしゅうそ）」といわれる症状を和らげる効果を持つことです。

不定愁訴の場合によく処方される加味逍遙散ですが、具体的には「何となくイライラする」「よく眠れない」といったメンタルに関連する症状の改善に役立ちます。これは「気」の不足を表す「気虚（ききょ）」の状態から、気の巡りをよくすることで、心身のバランスを整える働きがあるからです。

加味逍遙散はそのほかにも、冷え性やむくみ、便秘や肌荒れといった、原因がはっきりしないお悩みが見られる場合にもよく用いられます。

気になる症状やお悩みがある場合は、医師に相談することが大切です

漢方薬はドラッグストアなどでも気軽に入手できますが、ご自身の判断で薬を選び、服用することはおすすめしません。よくある誤解のひとつに「漢方薬には副作用がない」というものがあります。実際には漢方薬にも副作用はありますし、別の漢方薬のほうがより効果があるという場合もあります。

さらに、症状の裏に検査や治療を必要とする病気が隠れている可能性もありますので、気になる症状やお悩みをお持ちの場合、まずは医師に相談されることをおすすめします。

Sレディースクリニックは、大阪市生野区で女性医師が担当する産婦人科・美容皮膚科です。
漢方治療やホルモンバランスのご相談をはじめ、性感染症やワクチンに関する診療も幅広く行っております。
「体の不調を根本から改善したい」「漢方を試してみたい」など、どんな小さなお悩みでもお気軽にご相談ください。