
妊娠初期には生活や症状など、注意すべきことが多いです。特に妊娠初期は流産しやすいため、リスクを低下させるためにもポイントを抑えるのが大切です。この記事では妊娠初期の注意点を紹介します。
妊娠初期は流産しやすい
そもそも流産は珍しいことではありません。妊娠のうち8~15%、つまり6~7人に1人は自然流産に終わります。そのうち妊娠週別の自然流産の頻度は以下の通りで、妊娠初期である12週目までの間に8~9割の流産が起こることがわかります。
妊娠週 | 5~7週目 | 8~12週目 | 13~16週目 |
---|---|---|---|
自然流産の頻度 | 22~44% | 34~48% | 6~9% |
流産の多くは胎児の染色体異常が原因であり、日常生活の影響ではない可能性が高いです。ただし、薬やアルコールなどの習慣が悪影響を及ぼしている可能性もゼロではないため、ここで紹介する注意点を意識してみましょう。
妊娠初期の生活における注意点

妊娠初期は流産の確率が高いため、少しでもリスクを下げたいものですよね。ここでは、妊娠初期の生活で注意したいことを紹介します。
座り方
妊娠中はお腹や腰など、身体に負担をかけない座り方を意識しましょう。たとえば体育すわりのように肩を丸め、背中もお腹を丸めた体勢を長時間続けると、負担がかかる可能性があります。長時間同じ姿勢での着座は避けるとともに、背筋を伸ばし、骨盤を立てた姿勢を心がけてください。
足を組む、横すわりするのもよくありません。妊娠中は骨盤が緩むため、左右のどちらか一方に体重をかけ続けると歪みにつながる恐れがあります。地べたに座るときには正座やあぐらなど、左右対称になる座り方がおすすめです。
食べ物
食中毒を引き起こす恐れのある生もの(刺身、生肉、生卵)は避け、十分に加熱した食事を心がけましょう。アルコールは絶対に避け、カフェインの摂取も控えめに。流産だけでなく、先天異常を防ぐことにつながります。
反対に、葉酸を含む緑黄色野菜、鉄分を含む食材を積極的に摂取しましょう。特に葉酸は「赤ちゃんのビタミン」とも呼ばれており、赤ちゃんの身体を作るのに欠かせません。ホウレンソウや苺、ブロッコリーなどに多く含まれますので、食事に取り入れてみてください。
旅行
「子供が生まれる前に夫婦だけの時間を過ごしたい」と、旅行に行きたくなる方も多いです。妊娠初期の旅行が流産につながる可能性は低いです。ただ、妊娠初期はつわりで身体が辛いこともありますので、無理はしないでくださいね。急な体調変化に備え、長時間の移動は避けましょう。必要な場合は、主治医に相談のうえで計画を立てるのがおすすめです。
仕事
妊娠初期であっても、仕事は無理のない範囲で継続可能です。ただし、長時間の立ち仕事や重労働は体に負担がかかりますので避けましょう。適度な休憩を取り、ストレスをためないよう心がけてください。
つわりがひどい場合は、勤務時間の調整や在宅勤務の可能性について職場と相談しましょう。厚生労働省は企業に対し、妊娠中の女性労働者の身体に負担を与えることがないよう、通勤緩和や休憩に関する措置を講じるよう指示しています。「迷惑をかけてしまうのでは」と抱え込まず、まずは一度相談してみてくださいね。
喫煙
妊娠中の喫煙は、流産や早産、低体重児のほか神経発達障害のリスクを高めます。妊娠早期に禁煙すれば、出生時の体重はほぼ正常になり早産率も減少しますので、できるだけ早く完全な禁煙を心がけましょう。また、受動喫煙も同様のリスクがあるため、周囲の方にも協力を求めることが大切です。
薬
服用中の薬がある場合は、必ず主治医に相談してください。多くの薬剤は赤ちゃんへの影響は心配ありませんが、薬の成分によっては危険を及ぼす恐れがあります。妊娠中に避けたい薬剤としては以下が挙げられます。
・抗菌薬
・抗ウイルス剤
・抗高脂血症薬
・抗ガン剤
・麻薬
・睡眠薬
・抗潰瘍薬
・抗凝固薬
・ホルモン剤
・ダナゾール,女性ホルモン
・生ワクチン類 など
ご自身の服用している薬が該当するか判断するのは難しいものです。妊娠に気づいたら、できるだけ早く主治医に共有すると安心ですね。
妊娠初期に注意すべき症状は?

妊娠初期は体の変化により、さまざまな症状が現れます。なかには注意しないと身体や赤ちゃんに危険がおよぶ症状もあるため、注意が必要です。
腹痛・出血
妊娠の初期は軽い腹痛や少量の出血がみられることがあり、過度な心配は必要ありません。ただ、お腹を抱える強い腹痛や生理のような多量の出血があった際には、すぐに医師のご連絡ください。流産や子宮外妊娠の可能性も考えられます。
高熱
高熱は赤ちゃんの臓器形成などに影響を与える恐れがあります。かかりつけの産婦人科へ速やかに相談し、妊娠中でも使える薬の処方を受けましょう。冬にインフルエンザの感染が心配な場合は、ワクチンの接種も検討してみてください。なお、インフルエンザワクチンは不活性化ワクチンの一種であり、母体や赤ちゃんへの影響はありません。
嘔吐
妊娠初期は多くの方に「つわり」と呼ばれる吐き気が起こります。妊娠した方の約80%にみられるといわれており、珍しい症状ではありません。ただし、重篤な症状の場合には腎臓や肝臓にダメージを与えるほか、肺塞栓症など命にかかわる合併症を発症する恐れがあります。水分すら摂れないような、辛く苦しい吐き気が続くときは早めに医師の診察を受けてください。
不安なことがあったら産婦人科に相談を
妊娠初期には食べ物や薬など、さまざま面で注意しながら生活を送る必要があります。また、身体の変化に伴い腹痛や吐き気といった症状も現れ、妊娠前と全く同じ日常生活を送ることは難しいでしょう。
小路東宮本診療所は大阪市生野区で女性医師が担当するクリニックです。妊娠に関する相談に親身に対応いたしますので、気になることや不安なことがあったらいつでもご来院ください。