生理前のイライラや体調不良はPMS(月経前症候群)の可能性も。原因と対処法を知ろう

「生理が近づくと、ちょっとしたことでイライラする」

「体がだるくて重たい感じ。強い眠気を我慢できない」

「乳房が張って痛くなる。肌荒れや頭痛がすることも」

多くの方が「女性にはよくあること」と我慢しがちですが、
じつは「PMS(月経前症候群)」という女性特有の病気である可能性があります。
とくに20代~40代の女性には例のようなお悩みをお持ちの方が多く、
産婦人科である当院にご来院になる方が後を絶ちません。

今回のコラムではPMSの原因や症状のほか、
日常生活でできるセルフケア、婦人科での治療法などについて、
女性の婦人科医として解説します。

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やっぱり私もPMSかな?思い当たる項目は?「PMSチェックリスト」

さっそくですが、PMSの可能性を簡易的に診断できる
チェックリストを試してみましょう。

「生理が始まる3~10日くらい前」から、
以下のような症状に悩まされることはありますか?
当てはまる項目の有無をチェックしてください。

■「からだ」の症状

□ 乳房が張ったり、触ると痛みを感じたりする

□ お腹が張る(下腹部の痛みや膨満感がある)

□ 頭痛、腰痛、肩こりがいつもよりひどくなる

□ 体がパンパンにむくんでしまい、体重も増える

□ 肌荒れやニキビ、吹き出物ができてしまう

■「こころ」の症状

□ いつもよりイライラしやすくなる。怒りっぽくなる

□ 特別な理由もなく悲しくなったり、涙が出たりする

□ 気分の落ち込みがひどく、何をするのも面倒になる

□ 他人からの何気ないひと言に、不安や焦りを感じる

□ 集中力が低下して、仕事や家事などでミスが増える

■ その他の症状

□ 疲れやすく、つねに「体がだるい」と感じる

□ 眠ったのに強い眠気がある。夜に熟睡できない

□ 甘いものや味の濃いものを「ドカ食い」する

□ 人に会うのが面倒。外出や付き合いを敬遠する

当てはまる項目はありましたか? 診断結果は…

当てはまる項目が1つでもあり、生理が始まると
「症状が消える・軽くなる」という場合、PMSの可能性があります。

症状の程度に関係なく、同じ状態を毎月のように繰り返して
「つらい」と感じることがあれば、
我慢せずに医師に相談することをおすすめします。

より症状が重い「PMDD」の可能性も

「体の症状」よりも「心の症状」が強く出ており、
日常生活や人間関係に支障が出ているような場合
「PMDD(月経前不快気分障害)」の可能性があります。

これは重症型のPMSですので、積極的に医師に相談することが大切です。

産婦人科医からのアドバイス

PMSかどうかを見極めるポイントは「症状が現れるタイミング」です。

使いやすい手帳やアプリで「不調を感じた日」と
「生理開始日」を記録してください(2~3か月分)。
症状が「生理前」に集中し、「生理が始まると治る」ようなら
PMSの疑いが強くなります。

PMSは適切な治療を受ければ症状の軽減が期待できますので、
受診を検討してみましょう。

なぜ起こる? つらくなる? PMS(月経前症候群)の原因と悪化させる要因

女性ホルモンの変動との見方が有力

多くの女性を悩ませる「PMS(Premenstrual Syndrome)」は、
日本語で「月経前症候群」と呼ばれる女性特有の病気です。
残念ながら、現時点ではPMSの原因やメカニズムは明確になっていません。

ただし、生理周期に伴う女性ホルモンの急激な変動が、
PMSに深く関係していると考えられています。

PMSは「生理が始まる3~10日くらい前」から現れるのが特徴で、
さまざまな心身の不調が含まれます。
いつも決まった症状が出るというわけでもなく、
月によって症状が変わることも多く、
症状の種類はなんと200種類以上にもなるともいわれています。

人によって、月によって、症状が異なるというのはPMSの厄介なところです。

2つの女性ホルモンの影響で発症する

排卵が終わるタイミングで、女性の体の中では
「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」
という2つの女性ホルモンの分泌量が急激に変化します。

エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が
同時に増加することで自律神経が乱れ、
女性の体と心の両面に何らかの症状が現れると考えられています。

PMSのおもな症状と診断基準

米国産婦人科学会による「PMSの診断基準」は以下の通りです。

「身体症状」

  • 乳房の張り・痛み
  • 腹部膨満感
  • 頭痛
  • 関節痛・筋肉痛
  • 体重増加
  • 手足のむくみ

「精神症状」

  • 抑うつ(気分の落ち込み)
  • 怒りの爆発
  • いらだち
  • 不安
  • 混乱
  • 社会からの引きこもり

「診断基準」

  1. 過去3回の連続した月経周期のそれぞれにおける月経前5日間に、
    身体症状および精神状態のうち一つ以上が存在。
  2. 月経開始後4日以内に症状がなくなり、13日目まで再発しない。
  3. 症状の発症が薬物療法やアルコールの使用によるものではない。
  4. その後2周期にわたり症状が出る。
  5. 社会活動や学業、仕事に明らかに支障がある。

さらに、以下のようなものがPMSの症状に影響しているという見方もあります。
思い当たることがあっても、すぐに改善するのは難しいことです。
少しずつ改めてみましょう。

  • 仕事や家庭でのストレス、疲労の蓄積
  • 生活リズムの乱れ(睡眠不足や運動不足)
  • 食生活の乱れ(カフェインや糖分の過剰摂取)

今日から始めよう!PMSの症状を和らげる「かんたんセルフケア」

PMSの症状は「生活習慣の見直し」を始めるだけで、
少しずつ和らげることができます。
今日からすべてを始める必要はありません。
無理のない範囲で、できることから普段の生活に取り入れてみましょう。

まずは食生活の見直しと嗜好品のコントロール

生理が近づいてくると、「血糖値の急激な変化」によって
どうしてもイライラしやすくなります。

朝・昼・夜に3食をバランスよく摂って、
甘いものや味の濃いものの「ドカ食い」を防ぎましょう。
また、交感神経を刺激して、緊張やイライラを高める
カフェイン(コーヒーや緑茶(玉露)、エナジードリンク)、
アルコール、過度な塩分・糖分の摂取は控えましょう。

積極的に摂取したい成分

(1)カルシウム

イライラや気分の落ち込みなど、
PMSの諸症状の軽減に役立つ成分がカルシウムです。

皆さんもご存じの通り、カルシウムは乳製品や
大豆製品に多く含まれています。
カルシウムの吸収を助けるビタミンD、
マグネシウムと一緒に摂るのがおすすめです。

(2)γ(ガンマ)-トコフェロールとγ-トコトリエノール

PMSの不快な症状に挙げられる「むくみ」の軽減に役立つ成分が
「γ-トコフェロール」と「γ-トコトリエノール」です。

これらは強い抗酸化力を持つビタミンEの一種で、
大豆油やコーン油、米ぬか油などの植物油に多く含まれています。
γ-トコフェロールについては、
ナッツ類や緑黄色野菜にも含まれています。

これらを一度に多く摂取できる食品はありませんので、
他の成分や食品と併せて摂るようにしましょう。

(3)エクオール

大豆に含まれるイソフラボンを摂取すると、
腸内細菌の働きによって「エクオール」という成分が体内で作られます。
このエクオールはエストロゲンとよく似た働きをして、
PMSや更年期の症状の緩和、骨や肌の健康維持に役立ちます。

ただし、体内でエクオールを作れる日本人は
2人に1人といわれているので、
サプリメントで補給するのが良いでしょう。

適度な運動でリフレッシュ

ウォーキングやストレッチ、ヨガなどの
軽い有酸素運動を行うと血行が良くなります。
それに伴い、むくみや痛みの軽減につながります。

軽い運動は「幸せホルモン」と呼ばれる「セロトニン」の
分泌を促してくれるので、気分の落ち込みの予防にもつながります。

「リラックス」と「質の良い睡眠」

生理の前はプロゲステロンの影響で、日中の眠気が強くなります。
夜には早めにスマートフォンを片付けて、
ぬるめのお風呂に浸かってから、早めに就寝しましょう。

アロマを焚いたり、好きな音楽を聴いたりして、
ゆったりとリラックスできる時間を作ることも大切です。

低用量ピルや漢方などで症状を改善。つらいときは我慢せず、婦人科を受診

ご紹介したセルフケアを試してもPMSの症状が改善しない場合や、
症状が悪化して仕事や日常生活に支障が出ているような場合は、
我慢せずに婦人科医にご相談ください。

「生理前によくある不調くらいで受診しても良い?」
などとためらう必要はありません。

婦人科を受診すると、一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせて
以下のような治療法が提案されます。
医師と相談しながら、それぞれの症状、体質に合った
治療法を取り入れて、PMSの症状を改善していきましょう。

低用量ピル(経口避妊薬)

ホルモンの分泌を一定にコントロールし、
排卵を止めてホルモンの急激な変動をなくすことで、
PMSの根本的な症状緩和に高い効果が期待できます。

また、ピルを服用することで、生理のタイミングを意図的に
「早める」「遅らせる」こともできます。

※生理のタイミングをずらす「月経移動」のコラムはこちらから

漢方薬

一人ひとりの症状や体質(証)に合わせて、
加味逍遥散(かみしょうようさん)や
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などが処方されます。

イライラやむくみ、冷えなど、複数の症状をゆっくりと改善していきます。 

「女性三大漢方」のコラムはこちらから

鎮痛剤・抗不安薬

頭痛や腹痛がひどい時の痛み止めや、
精神的な落ち込み・イライラが強い時期に、
ピンポイントで服用するお薬が処方されます。

「自分のリズム」を知ることが改善への第一歩。お気軽にご相談くださ

PMSは多くの女性が抱えているデリケートなお悩みです。

まず、症状やお悩みの改善・解消に向けて大切なのは
「生理前の不調は、PMSかもしれない」と認識することです。
そのうえで、生理周期や症状のパターンといった
「自分のリズム」を2~3か月ほど記録してみましょう。
同時にセルフケアも取り入れて、少しずつ改善を目指しましょう。

生理前のつらい症状やお悩みを、一人で抱え込む必要はありません。
とはいえ、正しい専門知識を持たない女性同士で相談しても、
根本的な改善はまず期待できません。

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