
女性の冷え性の改善に漢方の力を。冷えと漢方は婦人科で相談しよう
- 2026/06/30
- 産婦人科
多くの女性を悩ませる困った症状の一つが
「冷え性(冷え症)」です。
寒い冬に限らず、年間を通して
「体の冷え」で悩んでいる女性は、
周囲にも多くいらっしゃると思います。
夏場でもショールを羽織ったり、腹巻を巻いたり、
カイロを貼ったり…そういった冷え性対策だけでは、
根本的な改善はなかなか見込めません。
「頑固な冷え性を何とかしたい!」とお考えなら、
漢方薬を採り入れてみませんか?
今回のコラムのテーマは「冷え性と漢方」です。
漢方薬を処方して冷え性の治療にあたる婦人科医として、
冷え性と漢方についての基本的な情報をお届けします。
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まずはお困りの冷え性(冷え症)について「知っておいて欲しいこと」
日本人女性の大半が冷え性。冷える場所はさまざま
日本人女性を対象にした「冷え性」に関する調査、
アンケートが数多く実施されています。
それらによると「日本人女性の7割程度が冷え性」なのだそうです。
冷え性に悩む女性が多いことは皆さんご存じだと思いますが、
「10人のうち約7人が冷え性」という数字には、
かなりのインパクトがありますね。
多くの女性を悩ませる冷え性ですが、
冷える場所は一人ひとり違ってきます。
手足の先が冷える方、足腰(下半身)が冷える方、
お腹・胃腸が冷える方、全身が冷える方など、
冷え性にもさまざまなタイプがあります。
婦人科に相談したり、漢方薬を採り入れたりする前に
「自分の冷え性はどのタイプなのか?」を
きちんと把握しておきましょう。
タイプによって処方される漢方薬や、
日常生活でできる対策などが変わってきます。
冷え性が「女性によくある症状」の原因になることも
肌荒れ、便秘、むくみ、生理痛、イライラといった
「女性によくある症状」に、
冷え性が関係していることもあります。
冷え性のおもな原因として、
自律神経の乱れ、血流の悪化、筋肉量が少ないこと
(女性はとくに)などが挙げられます。
「女性なら冷え性は当たり前」といってそのままにしておくと、
困った症状がさらに悪化するかもしれません。
女性は男性に比べて「熱」を生み出す筋肉の量が少なく、
どうしても体が冷えやすくなるので、
日頃からできるだけ体を動かすようにしましょう。
また、食事の際はできるだけ体が温まるものを食べるようにする、
入浴時はシャワーだけで済ませるのではなく
湯船につかるといった対策も必要です。
ストレスによる自律神経の乱れを抑えるために、
ストレスを「遠ざける」「上手に発散する」方法を見つけることも大切です。
冷え性(冷え症)を改善するために漢方薬が選ばれる理由は?

「冷え性」に対する西洋医学と東洋医学の考え方の違い
一般的なお薬(西洋薬)の中に「冷え性に効く」
といった特効薬のようなものはありません。
なぜなら、西洋医学で冷え性は「治療の対象(病気)」
ではないからです。
冷え性には先に挙げた自律神経の乱れや筋肉量、
生活習慣、特定の病気(甲状腺疾患、更年期症状、貧血など)
などさまざまな要因があると考えられるため、
まずはそれらの改善が優先されます。
一方の東洋医学(漢方)では、冷え性は治療の対象になります。
漢方では、人間の体は
「気(人間が持つエネルギー)」
「血(血液や体に必要な栄養)」
「水(血液以外の体内の水分)」
の3つの要素でできており、それらのバランスが
崩れて冷え性になっていると考えます。
このバランスの崩れ(何が不足している?滞っている?)を
しっかりと分析し、冷え性の改善にアプローチできるのが
漢方のメリットです。
また、体質改善を目指す中で、
冷え性だけでなく生理痛やPMS、のぼせ、
むくみなどの症状が改善されることも少なくありません。
冷え性(冷え症)のお悩みに、婦人科でよく処方される「5つの漢方薬」
前回のコラムでも触れた通り、
すべての人に同じ漢方薬が効くわけではありません。
ここでは、それぞれの「体質」や
「冷える場所」に合わせて、
婦人科の保険診療でよく処方される
「5つの漢方薬」をご紹介します。

「手足の先が冷える」「全身が冷える」タイプ
手足の先や体全体にエネルギーが行き届かず、
冷えてしまう方向けの2つの漢方薬です。
(1)十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
体力が著しく低下し、全身のエネルギーが
枯渇しているような方、強い冷え性や疲労感がある方に
向いている漢方薬です。
「気」と「血」を「大いに補う」という意味を持っています。
エネルギー不足の体に栄養を巡らせ、
胃腸の働きを高めながら、
手足の先まで温めて体力を回復させます。
(2)人参養栄湯(にんじんようえいとう)
こちらの漢方薬も、体力が低下し、
だるさを感じたりする方向けです。
冷え性(手足の冷え)のほか、貧血や食欲低下
といった症状の改善効果が期待できます。
冷え性による肌の乾燥や、寝付きの悪さに悩む方にも適しています。
「足腰やお腹が冷える」「女性特有の不調がある」タイプ
骨盤内の血流が悪く、下半身の冷えや、
月経トラブル・ホルモンバランスの乱れを伴う方におすすめの漢方薬です。
(3)桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
比較的体力があり、筋肉質の方に合う漢方薬です。
血の流れが滞ることで起こる
「冷えのぼせ(下半身は冷えるが上半身はほてる)」が
ある方のほか、生理痛や更年期障害、
めまいや肩こりなどの改善が期待できます。
(4)加味逍遙散(かみしょうようさん)
イライラや不安感がある方をはじめ、
肩こりや頭痛、冷えのぼせがある方に処方される漢方薬です。
ストレスを和らげて「気」の巡りをスムーズにし、
自律神経の乱れを整えます。
PMSや更年期など、冷え性とイライラが
混在している場合によく用いられます。
(5)温経湯(うんけいとう)
温経湯という漢方薬は、比較的体力がなく、
胃腸が強くない方に向いています。
足腰に冷えがあるのに「手のひら」や
「足の裏」がほてるといった方や、
月経不順などでお悩みの方に用いられます。
温経湯には皮膚や粘膜を潤す働きも
期待できるので、乾燥肌の方、
唇が乾燥しやすい方にも向いている漢方薬です。
冷え性(冷え症)を改善する漢方薬は、婦人科での処方が安心かつ合理的
副作用やお薬代などの面でメリットが大きい
冷え性への効果が期待できる漢方薬は、
身近な場所にある薬局やドラッグストアでも
購入することはできます。
しかし、婦人科医としては、市販薬を
気軽に購入することはおすすめできません。
その理由は大きく以下の3つです。
(1)証(しょう)の不一致が起こりやすい
漢方では患者さまの心身の状態を
「証(しょう)」と呼びます。
証に合った漢方薬であれば
もちろん効果が期待できますが、
証が合わないものを選んでしまうと
効果が得られないだけでなく、
副作用が起こることがあるからです。
(2)隠れた病気を見逃してしまうリスクも
目に見えている冷え性の背後に、
貧血や甲状腺疾患などが隠れていることがあります。
婦人科を受診すれば、そのような
隠れた病気を見逃すリスクを低減することができます。
(3)市販薬は高額になりがち。成分量が少ないことも
保険適用の漢方薬の場合、
「お薬代」は3割負担となるため、
薬局やドラッグストアで市販薬を購入するより安価で済みます。
漢方薬は一定期間の継続服用が必要になるので、
服用期間が長くなるほど負担の差が拡がっていきます。
さらに、処方薬と市販薬では
成分量に大きな差があることが多く、
いわゆる「コストパフォーマンス」の面でも差がつきます。
※保険適用の有無などについては、医師にきちんと確認を取るようにしましょう。
冷え性のつらさを理解する女医と女性スタッフが温かくお迎えします

当院(大阪市生野区のSレディースクリニック)では、
冷え性をはじめ生理痛やPMSなど
女性特有の症状に関するご相談に、
院長を含む女性スタッフが親身になって対応しています。
患者さま一人ひとりに合わせた漢方薬の処方も
積極的に行っていますので、
受診をご希望の方は
お電話(06-4307-5344)または
「WEB予約」からご予約をお願いします。
「たかが冷え性」などと考えることなく、
どうぞお気軽にご相談ください。



